
両氏は小売業という共通のルーツを持ち、このプロジェクトは“商品を売る”“トレンドを見極める”“唯一無二の顧客体験を提供する”といった、小売業で培った規律や経験への愛情を語る場ともなっています。スペシャリティリテールでの共通体験こそ、このエキサイティングなコラボレーションを生む絆となりました。

KARHUファンの方でENGINEERED GARMENTSというブランドをまだ知らない方へ。改めてどういったブランドか教えてください。
NY発のメンズクロージングブランドで、1999年創業。アメリカン・ワークウェアやユニフォームをヴィンテージ・アイビースタイルと再構築し、“今の気分”を表現するウェアを作っています。
小売業での経験は、今のデザイナー/ブランド運営に役立ちましたか?
80年代に東京での小売経験が今のファッションデザインの基礎です。接客、トレンド把握、商品選定から素材・ディテール・フィット感まで、8年にわたる経験のすべてが基礎として積み上げられました。
フィジカルな店舗を大切に考えるあなたにとって、このコラボはスタッフ向けの特別な贈り物ですね。スタッフのモチベーションを上げる他の方法はありますか?
スタッフ一人ひとりのオリジナルアイデアを尊重しています。限られた予算・条件でも、優れたアイデアが鍵。良質な商品に囲まれ、感性を研ぎ澄ませ、市場やスタイルへの理解を深め、自分なりのユニークな発想を生む環境づくりを心がけています。

KARHUとのコラボは今回が初めてとのことですが、初めてKARHUに出会ったきっかけは?
2000年代初頭に北欧で買い付け中、スカンジナビアにはNikeやAdidasなど大手ブランドだけでなく地元ブランドも存在感があり、魅力を感じたのが最初です。
KARHUのMESTARI(メスタリ)をアーカイブで所有されているそうですが、どんな魅力がありますか?
最初に手にしたKARHUがMestariでした。KARHUの歴史—特にAdidasの三本線に影響を与えたことやエアソール技術の革新など—を知って、当時を代表するモデルとして選びました。70年代のスタイルや色使いが個人的にも好みです。
オリジナルのブルー&ホワイトに、Mロゴをマルチカラーで使用した理由は?
70年代の色合いが好きなので、当時流行したブルー×ホワイト、イエロー、グリーン、オレンジなどを一足にまとめ、“当時らしさ”を現代に再現したかったためです。
ご自身の思考からスケッチ、製品化までのプロセスを教えてください。
常にスケッチしていて、手描きは形・位置・バランスを理解する最良の方法。そこから経験に基づく新たなアイデアが生まれ、スケッチをベースにサンプル製作や関係者とのコミュニケーションを経て製品化されます。

Interviewer: Remko Nouws
Interviewee: Daiki Suzuki
Photography by Engineered Garments
KARHU x Engineered Garments Mestari sketch by Daiki Suzuki
今回のコラボレーションの原点となったシューズ
1970年代に発売された名作“Mestari”は、クリーンなライン、ヴィンテージな美しさ、普遍的な魅力を併せ持つスニーカー。クラフトマンシップと実用性を兼ね備えたこの“伝説的モデル”をコラボの基盤に選び、伝統を祝して新しく解釈しました。